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11月, 2022の投稿を表示しています

知られざる日ウ交流史に光当てた書籍発刊へ

  出版と世界85言語の翻訳サービスを提供するインターブックス(本社東京都千代田区)は、書籍『日本とウクライナ 二国間関係120年の歩み』を12月15日に発売する。同書はウクライナ人で、元在日ウクライナ大使館二等書記官のヴィオレッタ・ウドヴィクによる日ウ関係史。本文は四六判268ページ、並製で、定価2,420円(本体2,200円+税)。  著者はウクライナのオデーサ出身。2009年国費留学生として来日し、2012年東京大学大学院法学政治学研究科修了。オデーサ国立大学大学院博士号取得。政治学を学ぶかたわら、在日ウクライナ大使館の二等書記官として、政治経済・外交関係の会議や会談などで通訳を務めてきた。ロシア侵攻で緊迫度が増すウクライナは日本と長く深い交流の歴史があったことは、あまり知られていない。外交官としての経験と専門研究に裏打ちされた同書は、日本とウクライナの歴史的関係を知る上で必読の一冊。在日ウクライナ大使館の後援も得て、セルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ特命全権大使のメッセージを記載している。  〈著者ヴィオレッタ・ウドヴィクからのメッセージ〉  日本とウクライナの関係は20世紀初めからの長い歴史があり、とりわけウクライナ独立後、今日まで30年の間に官民にわたる交流と協力関係を深め、普遍的価値観を共有する友好国となっています。そのような日ウ両国関係の歩みを、本書を通じて多くの日本のみなさんに知っていただけましたら幸いです。  〈目次〉 プロローグ ウクライナの歴史と日本との共通点 第1章 初めての接触およびソ連時代における交流と協力 第2章 日本とウクライナの政治対話 第3章 安全保障・防衛協力 第4章 経済関係および協力 第5章 核の安全および科学技術協力 第6章 文化・スポーツ・人道関係 jakuyu.com

日本初、ウクライナ家庭のレシピ集発刊

  PARCO出版は平野顕子/イーゴ キャプション著『ウクライナの家庭料理』を11月28日から全 国書店、ネット書店などで発売した。アメリカスイーツの人気店「松之助」オーナーの平野顕子さんと、ウクライナ出身の夫であるーゴ キャプション氏がウクライナの愛情に満ちた家庭の味を紹介するレシピ集で、B5判変型の96ページ、定価1,760円(税込)。本の印税および売上金の一部はウクライナ人道支援のために寄付する。  このレシピ集ではイーゴ氏の実家、キャプション家に伝わる家庭料理の数々を、美しい写真とともに紹介している。すべてのメニューには関連するエピソードが付いている。平野顕子は 料理研究家で、アップルパイとアメリカンベーキングの専門店の京都・高倉御池「Caf´e&Pantry松之助」と東京・代官山「MATSUNOSUKE N.Y.」、京都・西陣にあるパンケーキハウス「カフェ・ラインベック」のオーナー。京都と東京にお菓子教室「平野顕子ベーキングサロン」も開校。イーゴ キャプション氏はウクライナ・キーウ出身。2017年に平野顕子と結婚。現在は退職し、プロ級の腕前の釣りとスキーを楽しんでいる。   〈本文の内容〉 ■Chapter1 サラダとサイドディッシュ= シンプルなサラダもあれば、特別な日の伝統的なサラダも。簡単に作れるサイドディッシュは、とても美味。 ■Chapter2 スープ =ウクライナ人にとってのスープは、日本人の味噌汁のようなもの。日々の食卓に欠かせない料理。  ■Chapter3 メインディッシュ= ウクライナの歴史を物語るように、各国の影響を色濃く受けたメニューが多いのも特徴のひとつ。  ■Chapter4 デザート= 家庭で作る郷土菓子は、長い時間をかけて作り継がれてきた伝統的なものばかり。 jakuyu.com

日本政府がウクライナに257万ドルの越冬支援

  日本政府は11月22日、ウクライナにおける電力分野などの越冬支援として、約257万ドルの緊急無償資金協力を実施することを決定したと、外務省が報道発表した。今回の協力では、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を通じて支援を行い、ウクライナに対して発電機及びソーラー・ランタンを供与する。  「ロシアによる攻撃により多くのエネルギー・インフラ施設が破壊されたことにより、ウクライナ各地において大規模な停電が発生しています。ウクライナにおいて日々冬の寒さが厳しくなり、また日が短くなる中、本件支援は、停電により暖房設備や照明器具を使用できない人々に対する越冬支援として重要な意義を有するものです。我が国として、引き続き、G7を始めとする国際社会と連携しながら、国難に直面するウクライナの人々に寄り添った支援を実施していきます。」(報道資料)。  11月24日付のロイター通信によると、ロシア軍がウクライナのエネルギー網に対する空爆を行ったことで広範な地域で停電が続いている。電力会社ウクエネルゴは、主要な施設が損傷したため現地時間夕方の時点でも国内電力需要の50%しか満たすことができず、完全復旧のめどは立っていないとしている。人口約300万人の首都キーウでは、気温が氷点下を下回る中、住民の約60%が電力の供給を受けていない。当局はロシア軍による一段の攻撃に備え、食料や飲料水のほか、防寒具などを備蓄するよう住民に呼びかけている。   「米航空宇宙局(NASA)が公開した衛星画像では、ここ数週間のロシア軍のミサイル攻撃を受けた停電でウクライナの国土は暗い斑点となって映っている。前日のロシア軍による攻撃で、ウクライナの全ての原子力発電所が稼働を停止。こうした事態は過去40年で初めてだったという。」  ウクライナのゼレンスキー大統領は英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューで、ロシア軍に占領された全ての領土を取り戻すというウクライナの決意は、エネルギーインフラを破壊するロシアの戦略で揺らぐことはないと表明。ウクライナのエネルギー施設に対する攻撃は現代社会では想像もつかないものとし、民間インフラを標的に攻撃していることは、ロシアに戦争終結を交渉する意思がないことを示していると語った。 jakuyu.com

ロシアのプロパガンダ拡散するスプートニク日本

 https://sputniknews.jp   ロシア政府系メディア「ロシアの今日」傘下のニュースサイト、スプートニク(SPUTNIC)日本語版が活発な報道を行い、日本でロシアのプロパガンダを拡散している。日本語版は2015年3月に開設されたもので、ロシアや世界のニュースを日本語に翻訳して伝えているほか、日本のニュースも配信している。今年3月にEUが禁止令を発行、インターネットプロバイダーはスプートニクのコンテンツが表示されないような措置をとることが求められている。もちろん、日本ではそのような禁止令は出ていない。  スプートニク日本語版のニュースサイトでは、トップページで主要ニュースや最新ニュースが表示され、国内ニュース、国際ニュース、政治ニュース、経済ニュースとオピニオンのページをクリックできるようにしている。このうち、最新の主要ニュースは「ロシアは西側が兵器を供給する限りウクライナのインフラを破壊する=露国連大使」、「EUはロシアをテロ支援国家に指定し、戦争の道を突き進む」、「岸田氏、内閣改造の報道を拒否」、「金正恩氏の妹は、制裁検討で韓国を批判した」など。ロシア政府の主張やロシア政府の方針に沿ったニュースを発信し、時々日本の政治ニュースなどを加えている。   オピニオン記事では、メディアとしての解説や、日本人記者、レポーター、専門家などの意見を掲載。メディア解説では、「シリアのテロ組織がウクライナに傭兵を派遣、月額5000ドルで800人規模」など、フェイクニュースかどうか確かめられないような記事もある。日本人記者徳山あすかの署名記事は生活・文化関連のものが多いが、「シベリア発・人道支援団体代表が語るマリウポリでの支援活動」など、あくまでロシア政府寄りの記事となっている。彼女は2018年に第1回日露メディアフォーラムでロシア側スピーカーとして登壇したという。また、今年入社した井上裕貴という新人日本人記者の署名記事もある。 ロシア寄りの政治家の発言も紹介

ロシアの闇を抉り出す映画『ナワリヌイ』

  ロシア政府の暗部に切り込むドキュメンタリー映画『ナワリヌイ』が11月18日、有料衛星放送のWOWOWで放映された。同作品は7月に東京のミニシアター3館で公開、その後各地の映画館で上映されている。ロシアの弁護士で政治活動家、アレクセイ・ナワリヌイの毒殺未遂事件に迫るドキュメンタリーで、今年度の米国サンダンス映画祭で観客賞、フェスティバル・フェイバリット賞をダブル受賞した。  監督は、2019年トロント国際映画祭で『ザ・バンドかつて僕らは兄弟だった』がカナダのドキュメンタリー映画として絶賛を集めたダニエル・ロアー。暗殺未遂事件の直後からナワリヌイや家族、調査チームに密着し、本作を極秘裏に製作した。事件の背後に何があったのか、そしてその後ナワリヌイがどんな手段を用いて自分を抹殺しようとした力を暴いていくのか。その全てをカメラは克明に記録していた。製作はCNN films、HBO Max。上映時間は98分。  映画では飛行機の中で突然唸りながら倒れ込み、ナワリヌイが病院に運び込まれる時、医者たちも助ける気があるのか、観客に疑問を感じさせる閉鎖的なロシア世界が画面から滲み出てくる。その後、ドイツの病院に移って回復したにもかかわらずなぜナワリヌイはロシアに戻るのか、投獄されるのを知っている観客にはちょっと理解できない。毒殺されそうになり、さらに世界的に知られた自分を簡単には投獄できないと考えたのか。ロシア皇帝のような絶対的権力を持つプーチン大統領にはそういった考えは通用しない。ロシア政府は理由もでっち上げ、国内の反対派を簡単に投獄してしまう。それが非常によく分かるドキュメンタリーだ。 最後に投獄中のナワリヌイの姿も  〈配給会社のよるストーリー〉 ロシアの弁護士で政治活動家のアレクセイ・ナワリヌイは、インターネット上でのプーチン政権への批判で国内外の注目を集め、若者を中心とした反体制派から熱烈な支持を寄せられるカリスマだ。タイム誌の2012年版「世界で最も影響力のある100人」にも選出されたナワリヌイは、自らも政党を結成し、モスクワ市長選に出馬し大健闘。やがて政権の最大の敵となった彼は、不当な逮捕を繰り返され、徐々に見えない巨大な力に追い詰められてゆく。そして2020年8月、彼は移動中の飛行機内で毒物によって昏睡状態に陥った。機体は急遽緊急着陸し、搬送された病院でもナワリヌ

ウクライナのバンクシー、インスタに動画

  https://www.instagram.com/reel/ClEaVDJOPaM/?igshid=YmMyMTA2M2Y=  11月に入って、 ウクライナで覆面アーティストのバンクシーが描いた壁画が次々見つかっている。11月17日には、バンクシー本人がインスタグラムにウクライナで描いた7点の壁画と共に、作品制作作業を撮った動画を投稿した。  動画は約1分30秒で、まず「2022年11月」という日付と「ウクライナ、ホレンカ」という街の名前が現われ、パーカーを着たアーティストが壁にスプレー缶を吹き付ける様子が映る。壁画は浴槽に入った老人を描いたもので、カメラが引いていくと破壊されたマンションの内側の壁に描かれていることが分かる。動画の音楽は、読売新聞オンラインによると旧ソ連時代にウクライナで流行した曲で、作曲家はKGBによる暗殺説があるという。 キーウ近郊のホレンカ  動画では、ガスマスクを着けた姿で消化器を持つ女性を描いた壁画(ホストーメリ)、ネックカラーを付けながら演技する女子体操選手を描いた壁画(イルピン)、瓦礫の中で逆立ちをする体操選手を描いた壁画(ボロジャンカ)、さらに対戦車障害物をシーソーとして使う2人の子どもを描いたキーウ市内の壁画、「Z」の文字が描かれたロシアの装甲車に乗せた核弾頭を描いた壁画を次々と映し出す。このあと、子どもを連れたウクライナ女性が映し出され、「ここに爆弾が落ちて、たくさんの人が亡くなった。うちの子はこの幼稚園に通っていた」、「私たちはたくさん泣いた。もう涙は残っていない」と語る。  動画の後半では、柔道着に黒帯を絞めた小柄な少年が大人の男性を投げ飛ばす姿を描いた壁画が映り、「IN solidarity with the people of Ukraine(ウクライナの人々と連帯する)」というメッセージが浮かび上がる。また、動画の最後では男性が「Z」文字のロシア装甲車に乗せた核弾頭の絵を指差して、「これのこと? 奴を酷い目にあわせてやる」と話している(HUFFPOSTの日本語訳)。 Zの文字が描かれたロシア装甲車   ホレンカはキーフ近郊の村で、ブチャやイルピンにも近い。旧ソ連時代のアパートや住宅がロシア軍によって破壊された。 jakuyu.com

ウクライナのバンクシー新作、CNNが確認報道

    ウクライナの首都キーフ郊外のボロジャンカに覆面アーティストとして知られるバンクシーの壁画が登場したが、CNNは11月15日のニュースサイトで同作品を含め計7点の新作をバンクシーがウクライナで完成させていると報道した。最初に発見された壁画は破壊されたビルの瓦礫の中で逆立ちをする体操選手を描いたもので、11月11日にバンクシーが自信のインスタグラムに、「ボロジャンカ、ウクライナ」のコメントを入れて写真を投稿した。ボロジャンカ市内ではこの作品以外の壁画も相次いで発見されて、バンクシー作品ではないかと噂されていた。  CNNニュースによると、オンラインメディアの「アート・ニュースペーパー」の取材に対して、バンクシーがウクライナの壁画7点を認めた。逆立ちする体操選手の壁画のほかにボロジャンカで見つかったのは、柔道着に黒帯を絞めた小柄な少年が大人の男性を投げ飛ばす姿を描いた壁画。また、キーウ近郊のホストーメリではヘアカーラーとガスマスクを着けた姿で消化器を持つ女性を描いた壁画、イルピンではネックカラーを付けながら演技する女子体操選手を描いた壁画、さらにキーウでは金属製の対戦車障害物をシーソーとして使う2人の子どもを描いた壁画も発見されている。  柔道着の小柄な少年が大人の男性を投げ飛ばす作品について、CNNは「その姿はウラジーミル・プーチン大統領を連想させるとの声もあるものの、バンクシーはこの像についても、その意味についても公けにコメントしていない。プーチン大統領は今年、国際組織ワールドテコンドーから名誉の黒帯を剥奪されていた」と書いている。  ボロジャンカはキーウの北西約50キロに位置する町で、2月24日のロシア軍の進行開始直後、特に激しい空爆や砲撃を受けて多くの建物が瓦礫の山と化した。「9階建てのマンションが真っ二つに破壊された映像が世界に衝撃を与えた」と朝日新聞。数種間にわたってロシア軍に支配され、4月にウクライナ軍が解放した。

ウクライナのボロジャンカにバンクシー作品

  ウクライナの首都キーフ郊外のボロジャンカで、覆面アーティストとして知られるバンクシーの作品が登場した。11月11日にバンクシーが自信のインスタグラムに、「ボロジャンカ、ウクライナ」のコメントを入れて3枚の写真を投稿したもの。この写真は作品のアップ写真と遠景写真、作品の描かれたビルの全体が分かる写真の3枚。  公開されたバンクシー作品は、破壊されたビルの瓦礫の中で逆立ちをする体操選手のような人物を描いたもの。朝日新聞の11月14日付休刊日号外(紙面ビューアー)によると、ボロジャンカはキーウの北西約50キロに位置する町で、2月24日の進行開始直後、ロシア軍の砲撃で最も大きな被害を受けた場所の一つ。「9階建てのマンションが真っ二つに破壊された映像が世界に衝撃を与えた」。数種間にわたってロシア軍に支配され、4月にウクライナ軍が解放した。  BBCニュースジャパンでは、ボロジャンカでは2つ目の作品も見つかっているが、バンクシーによるものかは確認されていないと報道した。この作品には、ロシアのウラジミール・プーチン大統領に似た柔道着姿の男性が子どもに投げ飛ばされる様子が描かれている。バンクシーが描いたと思われる3つ目の作品は、キーウ近郊のイルピンで見つかったという。建物の側面にぽっくり空いた穴の上で、新体操選手がリボンを使って演技しているもので、選手の首にはコルセットのようなものが巻かれている。 Googleマップの左上がボロジャンカ jakuyu.com

〈TUJのウクライナ人学生インタビュー〉ウクライナからの避難

   ロシアによるウクライナへの軍事侵攻開始以来、周辺国へ逃れた300万人を含めて1000万人のウクライナ人が避難生活を余儀なくされており、それら避難者の多くは大学生だという。テンプル大学ジャパンキャンパス広報部は、ウクライナ人学生にインタビュー取材を行い、学生が体験してきたこと、抱いている夢や希望、さらに日本への留学を通じて達成したいことなどを語ってもらった。それぞれの体験談は、避難者として外国で勉強する学生の姿を浮き彫りにし、学びに富むものだ。 彼女らのストーリーをより多くの方に知ってもらうため、TUJはインタビュー記事をシリーズで紹介することにした。初回はウクライナからの避難や日本に来るまでの経緯を取り上げ、この後も日本の第一印象、TUJでの学び、文化の違いへの適応、ウクライナ復興にどう貢献していきたいかなど、さまざまなエピソードを紹介していく計画。   第1回 ウクライナからの避難ー安全な場所を求め続けて  想像を絶する苦難を乗り越え日本にやってきた9人のウクライナ人学生は、多くが母国で身の危険にさらされ、家を失ったり経済的に困窮したりといった苦境に立たされている。学生たちのほとんどは、家を離れるのも自分で決断するのも、飛行機で旅をするのも今回が初めての経験だったという。侵攻開始当時、カリーナはスームィ州立大学でビジネスを学ぶ大学生、ナタリアはキーウ国立文化芸術大学でジャーナリズムを専攻する大学生だった。爆撃から逃れるため家族と共に故郷を離れた彼女たちは、これから自分たちの身に何が起こるか、見当もつかなかったという。(一番上の写真はクラクトルスクからドイツへ向かう列車=ナタリア提供)   <カリーナ編>速やかな決断で助かった命  侵攻開始の前日2022年2月23日。カリーナ・シェブーズは家の近くの士官学校から軍用車が撤去されるのを目撃した。ロシア兵は2月24日に町にきた。彼女が住むスームィ市はウクライナ北東部にあり、ロシアとの国境に近い場所。そんな位置関係のため、特に爆撃が始まった後の住民の不安は募るばかりだった。カリーナの一家はまず唯一窓のない部屋である浴室に、それからは地下室に隠れていたが、一刻も早く逃げる必要性を察し、間もなくスームィ郊外に避難。彼女の友人たちからは脱出に関するメールがいくつも来ていた。「最初の2日間はまともな食事はできず、スナック菓子

『ウクライナ美術への招待』発刊

    ウクライナの人々が大切にしてきた美術の世界をまとめた図版入り書籍が11月15日、『クラライナに愛をこめて ウクライナ美術への招待』のタイトルで発刊される。著者は評論家・作家で、早稲田大学ロシア文学科卒業後、平凡社に入社して雑誌『太陽』の編集長も務めた海野弘。A5判変形・ソフトカバー320ページで、定価2500円+税。発売元は東京・南大塚のパイインターナショナル。  9~13世紀にキーウを中心に繁栄し最盛期はヨーロッパ最大の領土を誇った大国キエフ(キーウ)・ルーシ、14~16世紀のウクライナ・コサックの活躍、17世紀以降はロシア帝国やソヴィエト連邦、近隣諸国の支配を受けながらも独自の文化を守りつづけてきたウクライナは、さまざまな民族が交わって共存し独自の文化や芸術が育まれた。キエフ・ルーシ時代の正教会建築やイコン(聖像画)美術、帝政ロシア期の美術、美術におけるウクライナ民族主義の高まり、20世紀初頭のウクライナ・アヴァンギャルド……。同書では歴史や都市物語、文学をまじえた豊富な解説、多彩な図版とともに、豊饒なウクライナ美術の世界をたどる。   〈書籍に関するお問い合わせ〉  株式会社パイ インターナショナル 〒170-0005 東京都豊島区南大塚2-32-4 TEL:03-3944-3981ホームページ: https://pie.co.jp/  ツイッター:https://twitter.com/PIE_BOOKS インスタグラム:https://www.instagram.com/pie_international/     jakuyu.com  

動画でモルドバのウクライナ人避難所体験レポート

    認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(本部広島県神石高原町、大西健丞代表理事)は、ウクライナ避難民の暮らすモルドバの避難所に1泊した団体所属日本人カメラマンのレポート動画を全5回シリーズで放映すると発表、YouTubeで第1回目を公開した。タイトルは、ずばり「体験レポート! ウクライナ人避難所に日本人カメラマンが1泊してみた!?」。  ピースウィンズでは、ウクライナ侵攻開始直後から、戦争で影響を受けた人々を支援してきた。特にウクライナの隣国モルドバで、流入する避難民への物資支援、医療スタッフを派遣して診療所の開設など、首都キシナウ市とも連携しながら支援してきた。  今回、診療所のあった避難所(通称:シネマ避難所)の協力によって、団体所属カメラマンが避難所に1泊して避難民の人々の生活を体験することができた。 「どんなところに寝ている?」「ごはんは何を食べている?」などの素朴な疑問から、長引く避難生活への人々の思い、避難民を支えるモルドバの人々の様子など、現場で活動してきたピースウィンズのカメラマンだからこそ撮ることができたリアルな映像を放映する。   【概要】 意外と厳しい避難登録!避難所内で叫ぶ「Кушаете!!」の意味は? 避難所のお弁当事情「ブルガリアン・ペッパーって知っている?」 避難所の子どもと大人、それぞれの夜の過ごし方 など、全5回を予定。 ピースウィンズのYoutubeチャンネル  https://www.youtube.com/c/ngopeacewindsjapan  で順次公開していく。 【特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン概要】 設立年月:1996年2月 所在地:広島県神石高原町近田1161-2 2F、東京事務所:東京都渋谷区富ヶ谷2-41-12 富ヶ谷小川ビル2F 主な活動:海外人道支援、災害緊急支援、地域復興・開発支援、犬の保護・譲渡活動 団体URL : https://peace-winds.org/ jakuyu.com

大ロシア主義のソルジェニーツィン論文『甦れ、わがロシアよ』

 ノーベル賞作家のソルジェニーツィンはソ連政府を批判、政治犯として流刑となり国外追放されたが、帝政ロシアを讃えるその思想は、ロシアのプーチン大統領に重なるものがある。特に1990年に発表した論文『甦れ、わがロシアよ』では、同じスラブ民族であるロシア人とウクライナ人の一体性を強調した。ソルジェニーツィンはソ連解体後にロシアに帰国したが、プーチン大統領は2000年に大統領に就任するとすぐにソルジェニーツィン宅を訪問したという。  論文『甦れ、わがロシアよ』は、日本語訳の解説文によると1990年9月18日付「共産青年同盟機関紙」と19日付「文学新聞」の付録として発表されたもので、両紙合わせた発行部数は2650万部。日本語訳の単行本は1990年12月に定価1000円で日本放送出版協会から発刊された。新刊書案内では「ソ連は速やかに解体し、全ての局面で根源的改革を。衝撃的発言の全訳」とPRしている。現在、この日本語訳の単行本は絶版で、アマゾンでは送料込みの価格が9000円以上となっている。あまりにも高額なので、ヤフーオークションに2500円(送料込み)で出品されていた表紙カバーなしの裸本を購入した。 日本語訳『甦れ、わがロシアよ』の著者近影  論文の中で「私自身、半分近くはウクライナ人であり、子どもの頃はウクライナ語の響きのなかで育った」として、白ロシア人にも触れてウクライナ人について次のように書いている。「わが民族が三つに枝分かれしたのは、あの蒙古襲来というおそろしい災難のためと、ポーランドの植民地になったためである。ロシア語と違う別の言葉を話していたウクライナ民族がすでに九世紀から存在していたという説は、最近になってつくられたまっ赤な嘘である。われわれ全員があの高貴なキエフ・ロシアから出ているのであり、ネストルの年代記によれば、そこからロシアの土地がはじまり、そこからキリスト教の光が差しこんできたのである。同じ公たちがわれわれを統治してきたのである」。  9月30日付の週刊エコノミストOnlineで、札幌大学岩本和久教授は「帝政ロシアをたたえるソルジェニーツィンの思想をなぞるかのように、プーチン大統領は国家を統治してきた。ロシアのウクライナ侵攻もまた、ソルジェニーツィンの支持する大ロシア主義と重なるものだ」と指摘。「『甦れ、わがロシアよ』の中でソルジェニーツィンはロシア人と

ウクライナ避難民イラストレーター、中京TVが放映

    ロシアのウクライナ侵攻で名古屋市に避難したエリザベータ・コロトコヴァさんはイラストレーターとして日本で活動を開始、7月28日に市営地下鉄中村公園駅のビル屋上の看板をデザイン、同日の中日新聞に掲載された。彼女が10月31日に中京テレビ「ウクライナから名古屋へ避難 “避難民”から自立へ 7か月の記録」で放映され、大須のスモールラグジュアリーホテル「trive osu kannon」で展示・販売しているアート作品も紹介された。  エリザベータ・コロトコヴァさんは、ウクライナ東部のドネツクで生まれ。緑で囲まれた大好きな家で家族3人で暮らしていたが、2014年にウクライナ政府軍と親ロシア派との間で紛争が勃発。その後も戦闘が続いたため、エリザベータさんの家族は、2016年にイルピンに移住した。しかし、2022年2月にロシアのウクライナ侵攻によって日本に避難。2022年時点で66歳の両親は、ウクライナに残ることを決意、一人娘のエリザベータさんを安全な国で将来を築いてほしいと送り出し、日本での生活を開始している。 中京テレビの番組が紹介したアート展示 エリザベートさんの作品    「trive osu kannon」はREJ(本社名古屋市中区)が運営し、『trive』シリーズでは8施設目となる最大9人宿泊可能なスモールラグジュアリーホテル。「旅(travel)」と「暮らす(live)」を掛け合わせた名称で、ホテルの概念を超えて、その施設で楽しんでもらう(遊び場)をテーマにしている。そのコンテンツとして、同ホテルでは地元アーティストのアートを展示し、宿泊客にアーティストを知ってもらうきっかけ、アートに触れてもらうきっかけ作りを目指しているという。  「ロシアの侵攻によって日本に避難、グラフィックデザイナーのスキルを活かして活動をされているエリザベータさんの思いにふれ、当館としてぜひエリザベータさんの描かれたアートを展示をしたい、と思いがつながり、今回、アート作品の制作に協力をいただいた」と同ホテルはコメント。   【中京TV「“避難民”から自立へ 7か月の記録」YouTubeURL】  https://youtu.be/6eUfaGJr4_U  【ホテル「trive osu kannon」の詳細】  https://trive.inc/osukannon     【エリザベー

Kindle版『シェフチェンコ風景画集』を発見

   AmazonでKindle版の『タラス・シェフチェンコ風景画集』を見つけ、300円でデータをダウンロードした。画集は個人ではなく歴史画愛好会の編集。序文は日本語であるが、後ろのページに掲載されているタイトル一覧はすべてウクライナ語で、ちょっと読めないのが難点。もう一つ、表紙のように縦長に風景画がレイアウトされており、大半を占める横長の絵も90度ひっくり返った状態でしか見えないという難点もある。タブレットでは本体をひっくり返せばいいだろうが、デスクトップパソコンではそういうわけにはいけない。それら欠点を除けば、300円でシェフチェンコの風景画が59点も家で鑑賞できるのは素晴らしい。  タラス・シェフチェンコ(1814-1861年)はウクライナの国民的詩人として知られるが、もともと画家としてスタートした。風景画集序文では次のように記載している。「農奴の家に生まれ孤児となった彼は、その美術的才能を地主に認められたことで画家への道を歩むことになる。しかし、美術を学びながらも詩人としての才能を発揮し、ウクライナ語による優れた詩を作り出した。しかしながら、ウクライナ・ナショナリズムを称揚するかのような彼の作品は、ウクライナがロシア帝国の支配下にあった当時は危険視され、投獄されてしまう。罪人となった彼はアラル海沿岸を巡ることになり、そこでも多くの優れた絵画を残すことになった。」  風景画集では、前半部分がキーウなどウクライナの風景を描いた絵で構成している。後半部分は、アラル海沿岸の中央アジアの風景を描いたものとなっている。   前半部のキーウの風景 後半部の中央アジアの風景 jakuyu.com