ロシア政府の暗部に切り込むドキュメンタリー映画『ナワリヌイ』が11月18日、有料衛星放送のWOWOWで放映された。同作品は7月に東京のミニシアター3館で公開、その後各地の映画館で上映されている。ロシアの弁護士で政治活動家、アレクセイ・ナワリヌイの毒殺未遂事件に迫るドキュメンタリーで、今年度の米国サンダンス映画祭で観客賞、フェスティバル・フェイバリット賞をダブル受賞した。
監督は、2019年トロント国際映画祭で『ザ・バンドかつて僕らは兄弟だった』がカナダのドキュメンタリー映画として絶賛を集めたダニエル・ロアー。暗殺未遂事件の直後からナワリヌイや家族、調査チームに密着し、本作を極秘裏に製作した。事件の背後に何があったのか、そしてその後ナワリヌイがどんな手段を用いて自分を抹殺しようとした力を暴いていくのか。その全てをカメラは克明に記録していた。製作はCNN films、HBO Max。上映時間は98分。
映画では飛行機の中で突然唸りながら倒れ込み、ナワリヌイが病院に運び込まれる時、医者たちも助ける気があるのか、観客に疑問を感じさせる閉鎖的なロシア世界が画面から滲み出てくる。その後、ドイツの病院に移って回復したにもかかわらずなぜナワリヌイはロシアに戻るのか、投獄されるのを知っている観客にはちょっと理解できない。毒殺されそうになり、さらに世界的に知られた自分を簡単には投獄できないと考えたのか。ロシア皇帝のような絶対的権力を持つプーチン大統領にはそういった考えは通用しない。ロシア政府は理由もでっち上げ、国内の反対派を簡単に投獄してしまう。それが非常によく分かるドキュメンタリーだ。
最後に投獄中のナワリヌイの姿も |
〈配給会社のよるストーリー〉 ロシアの弁護士で政治活動家のアレクセイ・ナワリヌイは、インターネット上でのプーチン政権への批判で国内外の注目を集め、若者を中心とした反体制派から熱烈な支持を寄せられるカリスマだ。タイム誌の2012年版「世界で最も影響力のある100人」にも選出されたナワリヌイは、自らも政党を結成し、モスクワ市長選に出馬し大健闘。やがて政権の最大の敵となった彼は、不当な逮捕を繰り返され、徐々に見えない巨大な力に追い詰められてゆく。そして2020年8月、彼は移動中の飛行機内で毒物によって昏睡状態に陥った。機体は急遽緊急着陸し、搬送された病院でもナワリヌイは意識不明となっていたが、やがて病院側の反対を振り切ってドイツの病院へ移送され、そこで奇跡的に回復を遂げた。様々な憶測が飛び交う中、体調が戻り始めた彼は、自ら調査チームを結成。自分に毒を盛ったのは一体何者なのか?暗殺未遂事件の影に潜む勢力を、信じられない手法を用いて暴いていく…。
12月2日にBlu-ray &DVD発売 |
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