日本政府は11月22日、ウクライナにおける電力分野などの越冬支援として、約257万ドルの緊急無償資金協力を実施することを決定したと、外務省が報道発表した。今回の協力では、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を通じて支援を行い、ウクライナに対して発電機及びソーラー・ランタンを供与する。
「ロシアによる攻撃により多くのエネルギー・インフラ施設が破壊されたことにより、ウクライナ各地において大規模な停電が発生しています。ウクライナにおいて日々冬の寒さが厳しくなり、また日が短くなる中、本件支援は、停電により暖房設備や照明器具を使用できない人々に対する越冬支援として重要な意義を有するものです。我が国として、引き続き、G7を始めとする国際社会と連携しながら、国難に直面するウクライナの人々に寄り添った支援を実施していきます。」(報道資料)。
11月24日付のロイター通信によると、ロシア軍がウクライナのエネルギー網に対する空爆を行ったことで広範な地域で停電が続いている。電力会社ウクエネルゴは、主要な施設が損傷したため現地時間夕方の時点でも国内電力需要の50%しか満たすことができず、完全復旧のめどは立っていないとしている。人口約300万人の首都キーウでは、気温が氷点下を下回る中、住民の約60%が電力の供給を受けていない。当局はロシア軍による一段の攻撃に備え、食料や飲料水のほか、防寒具などを備蓄するよう住民に呼びかけている。
「米航空宇宙局(NASA)が公開した衛星画像では、ここ数週間のロシア軍のミサイル攻撃を受けた停電でウクライナの国土は暗い斑点となって映っている。前日のロシア軍による攻撃で、ウクライナの全ての原子力発電所が稼働を停止。こうした事態は過去40年で初めてだったという。」
ウクライナのゼレンスキー大統領は英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューで、ロシア軍に占領された全ての領土を取り戻すというウクライナの決意は、エネルギーインフラを破壊するロシアの戦略で揺らぐことはないと表明。ウクライナのエネルギー施設に対する攻撃は現代社会では想像もつかないものとし、民間インフラを標的に攻撃していることは、ロシアに戦争終結を交渉する意思がないことを示していると語った。
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