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12月, 2022の投稿を表示しています

ブログ『ウクライナと共に』2022年閲覧数トップ10

   ブログ『ウクライナと共に』は、一般社団法人ウクライナ人道支援ジャクユーサポートのウエブサイトに連動するブログとして6月24日に立ち上げた。ウエブサイトの認知度アップと共にブログの閲覧数もじょじょに上がり、10月には月間閲覧数が909となった。10月17日にジャクユーサポート後援の「ウクライナチャリティコンサート」が開かれ、同コンサートを取り上げた投稿で閲覧数が跳ね上がった。この結果、月間閲覧数が大きく上昇したもので、11月は500台に減少、12月はさらに大きく閲覧数を減らした。  約半年間で閲覧数が最も多かった投稿は10月19日の「刈谷でウクライナチャリティコンサート」で、閲覧数が438と2位の5倍以上を数えた。17日に開かれたコンサートのオープニングで、 愛知県下の合唱団などに声をかけて結成した「合唱団かきつばた」が合唱したが、ブログの冒頭にこの合唱団約70人が整列した写真を入れたことから、合唱団団員とその知り合いがこぞってアクセスしたのではないかとつい思ってしまった。 朝日新聞に掲載されたチャリティコンサート  2番目に閲覧数の多かったのは7月9日に投稿した「次々と咲くトマト農園のひまわり畑」で、閲覧数は80となった。投稿はトマト、ミニトマトで知られる碧南市桃山町のにいみ農園のひまわり畑を取り上げたもの。同農園は直売所の周りに散在する5つのひまわり畑を持ち、7月上旬から8月中旬まで順番に花を咲かせるようにしている。まず咲いたのは清水町交差点北側と南側の2つの畑で、特に北側のひまわりは背の高い黄色い花がぎっしり並び、ちょっと数は少ないながらソフィア・ローレンがさまよったひまわり畑の雰囲気も醸し出していた。  3番目に閲覧数の多かったのは8月8日に投稿した「安城七夕まつりでウクライナ支援活動」で、閲覧数は76だった。投稿は、安城七夕まつり期間中の8月6、7日の夕方、朝日町のまちのえき岡菊苑で行われたウクライナ支援イベントを取り上げたもの。主催したのはNPO法人チーム三河リカバリーで、一般社団法人ウクライナ人道支援ジャクユーサポートも協力、ポストカードセット、ウクライナ国旗色マスクをテーブルに並べ、募金の協力を呼びかけた。  4番目に多かったのは10月24日の投稿「宝島社新聞広告『世界を敵にまわして、生き残ったヤツはいない』」で、閲覧数は65。5番目は8月11日

プーチンの恐怖政治探る翻訳本『クレムリンの殺人者』に注目

    朝日新聞出版から11月30日に発刊された翻訳本『クレムリンの殺人者』は、ロシアのウラジミール・プーチン大統領について書かれた書籍では最も内容が深いと言って間違いない。秘密警察の工作員、サンクトペテルブルクの副市長、クレムリンの管財部、首相代行、首相、そして大統領としての恐怖政治を詳述している。著者は英国の調査報道ジャーナリストのジョン・スウィーニーで、オブザーバー紙や公共放送BBCを拠点に活動してきたという。  プーチンが大統領になってから関与が疑われる多くの毒殺事件、暗殺事件を取り上げているが大統領に就任するきっかけも疑惑に包まれているという。後継指名を受けたプーチンの「人気を一躍高めたきっかけとなったのが、9月にモスクワなどで相次いだアパートの連続爆破事件だ。2週間たらずの間に4件の爆破があり、計400人以上が犠牲となった。プーチン氏は一連の事件をチェチェンのテロリストの犯行と断定、当時事実上の独立状態にあったチェチェンに対する、大規模な侵攻に踏み切った」。監修者の朝日新聞駒木明義論説委員は、これが相次ぐテロに怯えていたロシア国民に支持され、次期大統領の座を動かないものにしたと解説している。  毒殺事件としては、その始まりとして2001年に元サンクトペテルブルク市長のサブチャークと2人のボディーガードの心臓発作をあげ、原因が毒薬だったと指摘。2006年には秘密警察の元キャリア職員でイギリスに亡命していたリトヴィネンコが突然死し、後で放射能物質ポロニウム210が使われたことが判明したが、スウィーニーはロシア国内でも使われているのではないかと調査。モスクワ刑務所に服役中だったチェチェン兵士、サンクトペテルブルグのギャングもリトヴィネントと同じような症状で突然死していたと記述している。また、イギリスに寝返ったロシア人スパイのスクリパリは娘と共に、2018年に神経剤ノビチェクで攻撃された。  2020年8月、「ナワリヌイはシベリアの町トムスクからモスクワへ向かう飛行機に乗っていた。トイレに行こうと席を立ったナワノヌイは、トイレに行く前に足からくずおれた。ナワリヌイは床に倒れ、甲高い悲鳴をあげた。それは苦悶に絶叫するナワリヌイの声であり、また同時に、私の思うところ、ロシアの民主主義が死んでいこうとする今際の声だった」。この後、スウィーニーによると三つの奇跡が続いて

英国ドラマ『リトビネンコ暗殺』、アマゾンプライムで放映開始

    スターチャンネルが運営する動画配信サービス「スターチャンネルEX」では、デヴィッド・テナント主演の新作ドラマ『リトビネンコ暗殺』(全4話)を12月22日から日本初配信した。第1話は無料配信で、メーンキャスト・スタッフが作品の見どころを語る特別映像も解禁となった。また、「BS10 スターチャンネル」では2月6日から日本初放送を開始する(2月5日・日曜に第1話を先行無料放送)。スターチャンネルEXは、Amazon Prime Video チャンネル上でスターチャンネルが独占放送を行っている最新海外ドラマや映画が観られる配信サービス。  “ロンドン警視庁史上最も複雑、かつ危険な捜査”と言われた「リトビネンコ事件」。新作ドラマはこの未曽有の事件の真相を追求し、懸命に戦ったロンドン警視庁の捜査官たちと、夫を亡くした妻、マリーナ・リトビネンコの10年間に及ぶ苦難の捜査の全貌を、警察と遺族ら全面協力のもと、徹底的なリサーチに基づき映像化したノンフィクションドラマ。本国イギリスでの配信を皮切りに、日本を含む世界80ヵ国以上での配信・放送が続々スタート。現在進行中のロシアによるウクライナ侵攻という国際情勢とも重なり、今最も見るべき作品のひとつとして世界中で注目を集める。  今回解禁された特別映像では、アレクサンドル・リトビネンコを演じたデヴィッド・テナントほか、メーンキャスト・スタッフが作品に込めた思いや制作の裏側を語る貴重な映像となっている。デヴィッド・テナントは、イギリスの国民的スター(『80日間世界一周』『ステージド』『ドクター・フー』)。  放射性毒物を投与され暗殺されたアレクサンドル・リトビネンコ役のデヴィッド・テナントは「事実とはとても信じられない」と衝撃を受けた様子を見せ、「暗殺の唯一の証人は彼自身だ」と真剣な表情で答えた。捜査に奮闘するハイアット警部補役のニール・マスケルは「彼(リトビネンコ)が真実を明かすため必死に闘った姿が描かれる。目が離せない映像だ」とリトビネンコの生き様を明かす。作品を制作するうえで最も重視した点を「マリーナ・リトビネンコとの信頼関係」と明かした脚本・製作総指揮のジョージ・ケイは、マリーナは「ドラマの製作に不可欠だった」と強く主張。実際にマリーナ本人に話を聞き、マリーナ役を演じたマルガリータ・レヴィエヴァは 「病院で彼女は夫の死を予想し

アルクからウクライナ戦争を英語で学ぶ新刊

    ウクライナ戦争について、またこの戦争が全世界にもたらした影響について、英語で読み、聞き、理解できるようになる新刊『英語で読む・聞く・理解する ウクライナ戦争』が12月19日に発刊された。出版社は語学総合カンパニーのアルクで、A5判、172ページ。付録に英語音声100分が付き、定価2200円(税込)。  新刊書はゼレンスキー大統領のスピーチ、セルギー・コルスンスキー在日ウクライナ大使への独占取材音源のほか、有識者へのzoomインタビュー、トーク、VOA(Voice of America)のニュースなど、すべて英文と和訳、語注付きで、また100分の英語の生音源で学べる。監修者は政治学者(国際政治・比較政治学・コーカサス地域研究)の廣瀬陽子。  〈特徴1〉  スピード調整も語彙制限もない、本物の生英語で学ぶ=本物の英語を読む力、聞く力を身に付けたいという人には、スピードや語彙制限がない生英語音源での学習がお薦め。学習の助けとなる英文スクリプトと和訳、語注も付いている。  〈特徴2〉   報道英語を理解するための単語、フレーズが定着する=ネットやテレビ、新聞の英単語やフレーズは、それ自体ではなかなか覚えられないもの。インタビューやトーク、ニュースの文脈の中で、音声と共に、今起こっている世界情勢を知ることを通して英語に触れていくと、記憶によりよく定着する。  〈特徴3 〉 英語で一次情報をとる意識を高め、習慣づける=情報があふれる現代、「メディアリテラシー」を高める必要性が言われている。日本語の翻訳を待たずに英語の海に飛び込んで、英語で第一次情報をつかみに行くことが誰にとっても重要。同書を通して、「英語で読む・聞く・理解する」楽しさと臨場感を味わえる。  【掲載内容】  「ウクライナ独立記念日によせて」--ゼレンスキー大統領演説/ウクライナの基本情報と歴史/ウクライナ戦争の経緯/10分でわかるウクライナ戦争/ウクライナ戦争を読む・聞く・理解するための英単語15選  インタビュー:セルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ大使、ジョセフ・ナイ(国際政治学者)、フランシス・フクヤマ(政治経済学者)  トーク:ロッシェル・カップ(経営コンサルタント)  VOAニュースで読む・聞く・理解する ウクライナ戦争  【監修者 廣瀬陽子「はじめに」より】  あまり知られていないことかもし

YOSHIKI、ウクライナと周辺国避難民のため新たに1000万円を寄付

  Xジャパンのリーダーとして知られるYOSHIKIはクリスマス直前となる12月22日、ウクライナおよび周辺諸国で増大している避難民を支援するため、国際移住機関(IOM)に新たに1000万円の寄付を行った。11月20日の自身の誕生日にも同機関へ1,000万円の寄付を行っており、IOMへの支援は今回で2度目となる。  国際移住機関(IOM)は、世界的な人の移動(移住)の問題を専門に扱う唯一の国連機関。現在ウクライナおよび周辺諸国で紛争の影響を受けた人々へ緊急支援を行っている。ウクライナと近隣諸国では、何百万人もの人々が避難を強いられており、このクリスマスの時期は厳しい冬の寒さに直面している。多くの人々が今もなお、被災した建物に避難しており、食料、電気、暖房といった生活インフラも限られている。   YOSHIKIコメント 「苦しんでいる人々がいるのを知りながら、クリスマスやお正月をお祝いするのは辛いです。 今も戦争が続いていることを忘れてはいけないと思います。被害を受けたすべての人々のために、この寄付が少しでも助けになれば嬉しいです。そして、このチャリティー運動が今後も広がり、良い影響に繋がることを願っています」   また、YOSHIKIは2月にもウクライナ人道危機緊急支援基金に1,000万円の寄付を実施。8月には日本テレビ系列「24時間テレビ」に出演し、ウクライナから日本に緊急避難してきた22歳のバレリーナのネリア・イワノワと自身の楽曲「Endless Rain」で共演。同番組にも400万円の寄付を行っている。さらに、YOSHIKIは自身が運営する米国非営利公益法人501(c)(3)「YOSHIKI FOUNDATION AMERICA」を通じて、国内外において長期的な社会貢献活動を行ってきたことが高く評価され、Forbes Asiaが選ぶ2019年の「最も優れた慈善家30人」に選出。昨年は「国立国際医療研究センター」に寄付するなどの支援を行なったことから「紺綬褒章」を受章した。  国際移住機関(IOM)局長 アントニオ・ヴィトリーノ氏 コメント 「ウクライナでの戦争により全てを失ってしまった人々の苦しみや痛みにまつわる話を沢山聞いております。同時に、その人々の甚大な強さと、逆境を乗り越える意思と決意も目の当たりにしています。彼らは我々の助けを必要としており、今回のよ

国立歴史公文書館へ徳島県阿波和紙を提供、ウクライナ文化の保存支援

    徳島県では、古文書修復に必要な紙をロシアから調達することが困難となったリヴィウのウクライナ国立歴史公文書館へ修復紙として世界的に評価の高い「阿波和紙」を提供、ウクライナ文化の保存を支援すると発表した。目録の贈呈は12月8日、セルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ特命全権大使、徳島県酒池由幸副知事が出席して在日ウクライナ大使館で行われた。  2月のロシアによる攻撃から現在に至るまでウクライナ全土は非常に厳しい状況にあり、ウクライナ国立歴史公文書館も例外ではなく、保有する古文書の修復のために必要な紙をロシアから調達することが困難となっている。伝統的な原料(こうぞなど)で作られた和紙は、丈夫かつ柔軟性があり、酸化に対する長期保存性に優れており、修復紙に必要な高い品質を有している。中でも阿波和紙(アワガミファクトリー製品)は、製造技法を継承する伝統文化の維持とともに、世界に向けたPRも積極的に行っていることから、海外への出荷実績が豊富にあり、ウクライナ国立歴史公文書館より阿波和紙を指定して徳島県へ支援の依頼をもらったという。 (左)修復を要する古文書、(右)今回提供する阿波和紙   ウクライナ国立歴史公文書館への阿波和紙の支援では、12月21日に在ポーランドウクライナ大使館で阿波和紙400枚(提供する和紙の一部)を手渡し。その後、12月末(予定)に残りの阿波和紙(8100枚)を在ポーランドウクライナ大使館に輸送後、大使館からウクライナ国立歴史公文書館(リヴィウ)へ輸送する。  お問い合わせ先 : 徳島県庁文化・未来創造課ダイバーシティ推進課 jakuyu.com     

碧南市の医療法人がウクライナ支援コンサート

    日本在住のバンドゥーラ奏者カテリーナ・グジーを招いて、ウクライナ支援の新春チャリティーコンサートが来年1月12日、碧南市鶴見町の碧南市芸術文化ホールで開催される。当日は午後5時45分から開演し、ネイティブアメリカンフルート奏者のイネ・セイミも出演する。主催するのは何と碧南市新川町の医療法人堀尾医院で、碧南市医師会、碧南文化協会、碧南市教育委員会が後援する。入場料は2000円(全額寄付)。  12月17日付中日新聞西三河版ではこのコンサートを取り上げ、堀尾医院堀尾静院長にインタビューしている。「聴衆1人1人の篤志をそのまま戦禍で困窮する方々へ送りたい」と入場料を全額寄付、出演料などは同院長が負担するという。また、カテリーナ・グジーはロシア軍事侵攻後、キーウ在住の母親を日本に呼び寄せると共に、各地で演奏会を続け、10月には刈谷市でコンサートを開いたと書いている。同コンサートは、10月17日に刈谷市総合文化センターで開かれ、ジャクユーサポートが協賛した「ウクライナチャリティコンサート  」。  堀尾医院のウエブサイトには、チャリティーコンサートに対する堀尾院長の思いを次のように掲載している。  「3年に及ぶコロナ禍は私たちの日常生活を大きく圧迫しました。行動を制限され、密を避ける生活。こんなに息苦しいものかと知りました。普通に過ごす日常生活がどんなに愛しいか思い知らされました。そんな世相の中で、さらに、遠い国で戦争が始まりました。70数年、戦争を経験しなかった日本の私達には晴天の霹靂と感じました。ニュースで知るウクライナの国民の窮状に心を痛められた方は多くおられたと想像します。私もその一人で、戦禍で亡くなられた方は勿論のこと、家族と離れ離れになった子供達や女性等の報道に、それがもし我が身の事と想像したとき、痛ましいと思うだけでなく、何か自分にできることは無いかと思い続けていました。その思いの折、ウクライナ出身の音楽家カテリーナさんの活躍を知り、碧南の地にお呼びすることを思い立ちました。音楽を通じてウクライナという国を知り、演奏を楽しみながら参加された皆様の入場料金を一人ひとりの篤志として、かの国の戦禍で困窮する方々へ届けたいという思いに至りました。たとえわずかな支援でも、一匹の蝶の羽の振動が大きなうねりとなるかも知れないと願って、です。しかし、この混迷した世界情勢

バンクシー、ウクライナ支援でプリント作品限定販売

    11月にウクライナで壁画7作品を描いた覆面アーティストのバンクシーは、12月10日にウクライナ支援のためスクリーンプリント作品をインスタグラムに投稿し、署名入りの同作品50点を限定販売すると発表した。投稿文は「 I’ve made 50 of these screenprints with all proceeds going to our friends in Ukraine. visit  banksy.legacyofwarfoundation.com 」 というもので、プリント作品を販売するサイトも知らせている。  作品では白いネズミが描かれ、このネズミが中央の単語「FRAGILE」(フラジャイル=壊れやすいの意味)のFとRの文字を爪で引っ掻いている。12月13日付東京新聞夕刊では、「ネズミが爪で引っかいて消し、『機敏な』を意味する『AGILE(アジャイル)』に変えたようにみえる」と書いている。  販売サイトでは、作品の販売を担う Legacy of War FoundationのCEOが次のようにコメント。We're excited to offer an art screen print by the celebrated British graffiti artist Banksy. The artist is covering costs so ALL proceeds from this sale will go to fund supplies for our team in the conflict zone in Ukraine. Each print is signed and numbered from an edition of 50, they are limited to one per customer and cost £5000 (plus applicable taxes). They come float mounted in a wood frame. If you want to purchase one please register your details below. Registration ends on Friday 16th December @ 12pm GMT. Multiple e

ちくま新書から小泉悠著『ウクライナ戦争』

  2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻し、第二次世界大戦以降最大規模の戦争が始まった。国際世論の非難を浴びながらも、かたくなに「特別軍事作戦」を続けるプーチン、国内にとどまりNATO諸国の支援を受けて徹底抗戦を続けるゼレンシキー。そもそもこの戦争はなぜ始まり、戦場では一体何が起きているのか?  ちくま新書の12月新刊として、テレビメディアで活躍する軍事研究者の小泉悠(こいずみ・ゆう)の『ウクライナ戦争』が発刊された。同書は「21世紀最大規模の戦争はなぜ起こり、戦場では何が起きているのか?」、東京大学専任講師・小泉悠がその全貌を読み解こうとした書き下ろし論考。12月11日付朝日新聞には「刊行前重版&発売日即重版の大反響」という筑摩書房の広告が入るほど、年末シーズン最大と言える話題の新書となっている。   同書では、2021年1月-5月を軍事危機期間、21年6月-22年2月21日を開戦前夜期間として捉えてロシアの動き、ウクライナの動きを探ると共に、ロシアの軍事侵攻が始まってからの攻防を詳述している。また、ロシアの特別軍事作戦の軍事的な論考やプーチン大統領の主張の分析も行っている。開戦前の動きや軍事侵攻後の攻防など、マスコミに発表されていなかったことも数多く取り上げられているため、240ページ近くある本文も一気に読み進めることができる。最後の「この戦争の第一義的な責任はロシアにある。その動機は大陸間のパワーバランスに対する懸念であったかもしれないし、あるいはプーチンの民族的な野望であったかもしれないが、一方的な暴力の行使に及んだ側であることに変わりはない」という記述は納得できる。  ウクライナ戦争目次  〈第1章2021年の軍事的危機〉 1.バイデン政権成立後の米露関係=集結するロシア軍/あっけない幕切れ/トランプ退場に神経を尖らせるロシア/牽制は効いたか?/ウクライナ・ゲート/ナヴァリヌィ・ファクター 2.ゼレンシキー政権との関係=メディアンvsスパイ/シュタインマイヤー方式をめぐって/窮地に立たされるゼレンシキー/メドヴェチュークの政界復帰/ゼレンシキーの焦り  〈第2章開戦前夜〉 1.終わり、そして続き=ロシア軍の再集結/高まる緊張/米国の「情報攻勢」とロシアの「外交攻勢」 2.プーチンの野望=グラデーション状の勢力圏/「ロシア人とウクライナ人

宇ゼレンスキー大統領が米TIME誌「今年の人」に

    米国雑誌TIMEは12月7日、「TIME's 2022 Person of the Year :Volodymyr Zelensky and the spirit of Ukraine.」とインスタグラムに投稿した。タイムが毎年年末に発表している「今年の人」にウクライナのゼレンスキー大統領とウクライナの精神を選んだもので、ひまわりやさまざまな関係者をあしらったゼレンスキー大統領の顔を描いた年末特集号の表紙も投稿した。  TIME誌はゼレンスキー大統領を選考したことについて次のようにコメントしている。 「 Zelensky’s success as a wartime leader has relied on the fact that courage is contagious, writes Simon Shuster. It spread through Ukraine’s political leadership in the first days of the invasion, as everyone realized the President had stuck around. His professional instincts derived from a lifetime as an actor on the stage meant he knew how to read a crowd and react to its moods and expectations. Now his audience was the world. He was determined not to let them down. Courage came to define his fellow Ukranians, too. Instead of running for their lives, many Ukrainians grabbed whatever weapons they could find and ran to defend their towns and cities against an invading force armed with tanks and attack helicopters.」   ロイター通信日本語版は

ウクライナ国立歌劇団総勢200人が来日

   12月17日・神奈川県民ホールでの公演を皮切りに、バレエ「ドン・キホーテ」、「新春オペラ・バレエ・ガラ」、オペラ「カルメン」、オーケストラ「第九」、合計26公演を1月15日まで全国14都市で行う予定のウクライナ国立歌劇場。戦禍のウクライナで今なお舞台に立ち続け、ウクライナの芸術を守り続けているアーティストたち総勢約200人の来日が迫ってきた。  2月からのウクライナ情勢によって、ウクライナ国立歌劇場に所属するメンバーの半分以上が国外へ避難した。 その後、芸術活動を続けてほしいという政府からの依頼や、芸術を愛するウクライナ国民からの強い要望を受け、劇場地下の防空壕に入ることのできる人数を考慮し客席数に制限を設けつつ、5月より公演を再開した。11月には電力供給が不安定な状態ではあったが、日本公演でも上演予定のオペラ「カルメン」、バレエ「ドン・キホーテ」をはじめ、約13公演を開催。同時に、日本公演に向けたリハーサルも行っている。  一方で、 来日への影響も少なくない。現在、ウクライナ国内で来日に向けたビザの発行が困難なため、隣国のポーランドまで赴き、約200人分のビザ発行を行っている。さらに、キーウでは空港が機能していないため、来日時には一度全員でポーランドへ向かい、日本へ飛び立つ予定である。このような状況下ではあるが、多方面からの支援・協力をもらいながら、来日に向け準備を一つ一つ進めているという。  日本公演で「ドン・キホーテ」、「パキータ」で主演予定のウクライナ国立バレエのプリンシパル、オリガ・ゴリッツァから、日本に向けて次のメッセージが届いた。「侵攻開始時はウクライナ国外に避難していましたが、今はキーウに拠点を戻し、大好きなウクライナ国立歌劇場で日々レッスンや公演を行っています。日本では7回ほど公演をしたことがありますが、日本のお客様からは芸術に対する理解や感謝の気持ちが伝わってきます。日本のお客様の前で再び踊るのが今から本当に楽しみです。」  ■ウクライナ国立バレエ「ドン・キホーテ」=12月17日(土)神奈川県民ホール、12月18日(日)東京国際フォーラム、12月26日(月)、12月27日(火)東京文化会館ほか、山形、秋田、福島、千葉、埼玉、群馬、静岡を含む全国9都市で公演予定。  ■ウクライナ国立歌劇場管弦楽団「第九」=12月28日(水)横浜みなとみらいホ

ホロドモールの証言集めたグラフィックノベル発刊

  11月26日はウクライナの「ホロドモール」犠牲者追悼の日で、午後4時に各家庭でろうそくに火が灯され、1分間の黙祷が捧げられた。国営通信社ウクルインウォルムによると、ホロドモールは人為的大飢饉を意味し、1932-33年に起きた。「スターリン体制によるウクライナ人に対するジェノサイド(大虐殺)と呼ばれている。当時のソ連の共産党全体主義体制は、これに先立ちウクライナの知識人・宗教関係者に対して大規模に弾圧を行なってきており、それに続けてウクライナの農民を犠牲にした。22か月間にわたり続き、約400万人の人々の命を奪った。」 ホロドモール犠牲者の記念碑  この大飢饉ホロドモール を生き抜いた人々の証言をグラフィック・ノベルで描いたウクライナ近現代史『ウクライナ・ノート-対立の起源』が10月30日に花伝社から発刊された。A5判並製、オールカラー176ページで、定価2200円(税込)。著者のイゴルト(igort)はイタリアを代表する漫画家の1人で、90年代には雑誌「モーニング」で連載を持ち、東京で暮らしていた。2010-11年にウクライナ、ロシアに2年間滞在していた経験をもとに、『ウクライナ・ノート』、『ロシアノート』を刊行。現在、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、『ウクライナ・ノート2-侵略の日誌』を制作中という。1958年生まれ。  ウクライナ・ノートでは、著者がウクライナで偶然に知り合った高齢の女性、男性などからホロドモールの体験談などを聞き取ってグラフィック・ノベルにまとめている。同時に、「クラーク」、「ボルシェヴィキのレポート」、「命令に則り」の項目で、ホロドモールの歴史も描写。クラークの項目では、モスクワが主導する農業集団化を受け入れなかった人々が「クラーク」と認定され、その撲滅運動が展開されたことを描いている。  クラークとは「持てる者」で、2頭の雌牛を所有するだけでクラークとみなされた。「ウクライナの農民はどこも、農業の集団化に反対していた。これらの農民は戦争捕虜のような扱いを受けた。むりやりに列車に乗せられて、追放された」。1928年時点で560万人を数えたクラークは、1934年には14万9千人に減少したという。「コルホーズが門戸を閉ざし、旧クラークへの援助も禁じられていたなかで、約550万人の人びとはどのような運命をたどったのだろう?」。 jakuyu