第2次大戦下、領土を奪われ翻弄されるウクライナ、ポーランド、ユダヤ人の3家族が大地と子供たちを守り抜こうとする物語『キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩』が7月7日に全国公開される。現在もキーウに住み、子どもを持つ母親であるオレシャ・モルグネツ=イサイェンコ監督がロシアのウクライナ侵攻前に作り上げた作品。東京では新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺、池袋シネマ・ロサなど6館で同日から上映され、愛知県では名古屋市の伏見ミリオン座で同じ7月7日から上映開始される。
クリスマスキャロルとして有名な「キャロル・オブ・ザ・ベル」は、ウクライナで古くから歌い継がれている民謡「シェドリック」に1916年“ウクライナのバッハ”との異名を持つ作曲家マイコラ・レオントーヴィッチュが編曲し、英語の歌詞をつけたもの。映画『ホーム・アローン』(90)内で歌われ、世界中に知られるようになった。この歌は「ウクライナ語、ウクライナ文化が存在している」という明確な証として今も歌い継がれている。
1939年1月、ウクライナのイヴァーノ=フランキーウシク(当時はポーランド領スタニスワヴフ)から物語は始まる。同じ屋根の下で暮らすウクライナ、ポーランド、ユダヤの3家族が第2次大戦に巻き込まれ翻弄されても「キャロル・オブ・ザ・ベル」の歌に支えられ、ひたむきに生き続ける。ウクライナ人の母は、ポーランド、ユダヤ人の娘たちに加え「この子に罪はない」と言ってナチス・ドイツの子どもさえも預り、自分の子どもたちと同じよう懸命に戦火から守り抜く。
第二次世界大戦下のウクライナ年表
1917年11月 ウクライナ人民共和国の成立
1921年3月 ポーランド・ソビエト戦争終結 西ウクライナはポーランド領、その他はソビエト領となる ウクライナ人民共和国政府はポーランドに逃れて亡命政府を立てる
1922年12月 赤軍勝利によってソ連邦結成 ウクライナはウクライナ社会主義ソビエト共和国として一方的に併合される
1929年1月 ウクライナ民族主義者組織(OUN)創設
1932年4月〜1933年11月 ウクライナで当時のソ連政権による計画された人工的な大飢饉が起こる(ホロドモール)
1939年9月 ドイツとソ連によるポーランド侵攻、第二次世界大戦勃発 ソ連はその後ウクライナを占領
1941年 6月 ドイツのソ連侵攻 9月 ドイツがウクライナ首都キーウを占領
1942年 7月 ドイツがウクライナを占領 スターリングラード攻防戦始まる 10月 ウクライナ蜂起軍(UPA)結成
1943年 8月 ソ連のウクライナ攻勢 11月 ソ連軍によるキーウ占領
1944年5月
ソ連によるクリミア・タタール民族のクリミア半島からの強制移住
1944年6月 ソ連軍による西ウクライナ制圧、連合軍のノルマンディ上陸
1945年 4月 ベルリン陥落 5月 ドイツ降伏 8月 日本降伏
1954年 クリミア半島の帰属がロシアからウクライナに移管
1991年8月 ソ連崩壊によりウクライナ独立宣言
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