岩波ジュニア新書から2月21日、ウクライナへの軍事侵攻について各地の高校生の思いなどを同新書編集部が聞いた『10代が考えるウクライナ戦争』が発刊された。ロシア文学者の奈倉有里、ジャーナリストの池上彰からのメッセージも掲載。カバー表紙は10代の若者を中心に約200人が参加して制作した作品「Pray for PeaceUkraine」。
岩波書店の紹介文では、「21世紀に起きた大国による軍事侵攻を若い世代はどのように受け止めているのでしょうか。衝撃、不安、怒り、苛立ち、不信、そして自分に何が出来るのかを模索する若者たち……。各地の高校生に率直な思いを聞きました。若い世代が戦争と平和について共に考えるための一冊です」と記載。高校生から思いを聞くため、各地で座談会やインタビューを実施したという。協力校は東京都立国際高等学校、早稲田佐賀高等学校、愛知県立豊田南高等学校、渋谷教育学園渋谷中学高等学校、玉川聖学院高等部の5校。
高校生の発言では、「お互いに正義がある。ロシアの正義とウクライナの正義」、「ロシアを一方的に『悪』と決めつけるのではなく、両者の視点から見ることが大事」、「下手に自分の意見を持つということは危険だと思う」、「ウクライナ側だけから情報を仕入れるは偏った正義だと思う」など、中立的な立場を取ろうとする意見が目立つ。もちろん、「侵攻は被人道的だと思う」、「侵攻は残酷なことだし犯罪だと思う」とプーチン大統領を非難する意見も多い。しかし、中には「ロシアの侵攻のニュースは先生が教えてくれて、初めて知りました」というとぼけた発言もある。
池上彰のメッセージ「21世紀の理不尽な戦争をどう考えるか」では、高校生たちの発言について次の感想を記している。「私と同じような衝撃を受けた生徒がいた一方で、そもそもテレビを見ないので戦争が始まったことを知らなかったと言う発言には驚きました。そういう時代になっていたのですね。また、冷静な分析も多数ありました。これには感心する一方で、『そんなに冷静に受け止めているだけでいいのか』という反発も感じました。今回の最大の問題は、国民から選挙で選ばれた指導者が、他の主権国家を武力で侵略したということです」。
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