8月30日付東京新聞夕刊で、親ロシア派のヤヌコビッチ大統領を追放したウクライナのマイダン革命(2014年)を題材にした映画『オルガの翼』がトップ記事に取り上げられた。主演のアナスタシア・ブジャシキナはルガンスク州出身で、欧州選手権出場歴もあるアスリート。サーカス団に所属していたが、ロシア侵攻後、ウクライナからスイスに脱出した。その経緯、現在の心情などをオンラインインタビューで語っている。映画は東京・渋谷のユーロスペースで9月3日に公開され、愛知県では名古屋市の名演小劇場で9月23日から上映される。
映画は、マイダン革命を機に生きるためにウクライナを去り、スイスに渡った15歳のオリガが体操選手としての夢と祖国への愛の間でもがきながら自らの運命を切り開いていく物語。1994年生まれ、スイス出身の新鋭エリ・グラップ監督の初長編監督作。マイダン・デモ参加者が実際に現地キーウで撮影した映像を使用するなど、「圧倒的な緊張感でいま知るべき事実が映し出される」(映画解説から)。フランス・スイス・ウクライナ合作。2021年カンヌ国際映画祭の批評家週間で、監督と共同脚本家が同作の曲本で「SACD AWARD」を受賞した。
主演のブジャシキナは、2020年9月の撮影終了後は国内のサーカス団に所属していた。北東部の都市ハルキウにいた時にロシアの侵攻が始まり、近くにロケット弾が落ちたことから国外へ脱出、今はスイスのサーカスに所属する。ただ、父母や祖母が祖国にいるため、「心配で仕方ない」、「ウクライナの人たちが防空壕にいる間、他の国の人たちが日常生活を満喫しているのを見ていられない」と、オンラインインタビューで心情を吐露している。
〈追加〉 9月15日号の週刊文春「シネマチャート」で、星印4個が4人、星印5個が1人と高評価を得ている。このうち星印5個を付けた映画評論家森直人氏は「平易かつ完璧。実際の体操選手を起用し、スポートと政治、多様な青春の主題を澄明に凝縮した。90分の充実に心打たれる」とコメント。
週刊文春9月15日号シネマチャートで高評価だったと追加書き込み。K
返信削除