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ウクライナ:新学年がスタート~安全な学校は6割未満

 

 日本ユニセフ協会報道資料【2022年9月1日 キーウ/ニューヨーク発】 

 「ウクライナで続く戦闘は、400万人の子どもたちの新学年の開始を妨げています」と、ユニセフ(国連児童基金)事務局長キャサリン・ラッセルは、3日間のウクライナ訪問を終えて述べた。「新学年の始まりは、子どもたちが再び教室に戻り、友達や先生と夏の思い出を語り合う、興奮と期待に満ちた時期であるべきです。しかし、ウクライナの400万人の子どもたちの心は、不安に覆われています。子どもたちは、学校に戻りつつありますが、学校の多くは戦闘の中で被害を受けています。先生や友だちが学校にいて迎えてくれるかどうかもわかりません。多くの親が、安全に不安を抱き、子どもを学校に送り出すのをためらっています」。(写真はオデーサの子どもにやさしい空間

 全国で数千の学校が損傷または破壊され、政府によって安全で再開が可能と判断された学校は60%未満となっている。ウクライナの新学年初日、ラッセルは紛争初期の数週間で被害を受け、修復された小学校を訪問した。避難シェルターの収容人数に限りがあるため、一度に登校できる生徒は300人で、紛争前のわずか14%。

  ユニセフは政府と協力して、ウクライナの子どもたちが、安全だと判断されれば教室で、対面が不可能な場合はオンラインやコミュニティベースの代替手段で、学習を再開できるよう支援している。紛争が始まって以来、約76万人の子どもたちが正規または非正規の教育を受けている。また170万人以上の子どもたちと養育者が、ユニセフが支援する メンタルヘルスと心理社会的支援を受けた。 「ウクライナの学校は、校庭よりも避難シェルターを作らなければならず、子どもたちは交通安全ではなく不発弾について教えられています」と、ラッセルは付け加えた。「これが、ウクライナの生徒、保護者、教師にとっての厳しい現実なのです」。

 子どもたちの学習を再開させるための取り組みとして、学校の修復、教師や生徒へのノートパソコンやタブレット端末、その他教育物資の提供、紛争下の安全確保に関する子どもたちや教師への指導などが行われています。「ウクライナの子どもたちの教育が大きく損なわれています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が2年以上続き、紛争の激化から半年が経過した今、彼らの心身の健康は大きな負担にさらされています。多くの人にとっての悲しい現実に対処するために、もっと多くのことがなされなければなりません」(ラッセル)。

 ウクライナにいる学齢期の子どもたちは、自分の生活と幸福への差し迫った脅威に晒され続けていますが、難民となった子どもたちは別の課題にも直面している。2022年7月31日現在、12の受け入れ国で難民として暮らす推定65万人のウクライナの子どもたちは、まだそれぞれの国の教育制度に登録されていない。ユニセフは、その半数近くを正規または非正規の教育で支援しており、ウクライナ難民の子どもたちが学校に入学するか、オンライン学習にアクセスできるように、各国政府やパートナーと取り組んでいる。 

 ウクライナ全土で、ユニセフは最も困難な状況にある家庭を含む61万6,000人の人々に、人道的現金給付支援を実施している。支援者から非常に力強い支援を得ているが、冬が近づくにつれ、支援ニーズが資金を上回ることが心配されている。ラッセルは、「平和が訪れない限り、ウクライナの子どもたちとその家族の生活は、冬が近づくにつれてさらに厳しいものになるでしょう。凍りつくような気温と大雪が数カ月後に迫っていることを知っているからこそ、ユニセフは政府やパートナーと協力して、暖かい衣類、靴、発電機、ヒーター、木質ペレットなどの越冬支援物資を準備しています」と述べた。

 ラッセルはまた、オレナ・ゼレンスカ大統領夫人と会談し、教師、保護者、保健・医療従事者などウクライナの人々の努力を称えるとともに、ウクライナ政府とユニセフの長年のパートナーシップに感謝の意を表明した。 また、人道危機への共同対応をさらに強化する手段や、国際人道法に従って、命を守る支援を必要とするすべての子どもたちに安全かつ迅速に、滞りなく人道支援を届けることの重要性についても話し合った。


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