ウクライナの絵本作家、ロマナ・ロマニーシンとアンドリー・レシヴが子どもたちに向けて描いた平和と戦争の絵本『戦争が町にやってくる』が翻訳され、6月にブロンズ新社から発刊された。2015年ボローニャ・ラガッツィ賞受賞作品で、すでに世界15言語に翻訳出版。絵本は290×214㎜、36P、ハードカバーで、1760円。(絵本の写真は全てウクライナ語原作本)
2人の著者が30歳の2014年、ロシアのクリミア侵攻が始まったという。「子どもたちのいる場所が爆撃を受け、家をうしない、おおくのひとが亡くなるおそろしい日々でした。それまで、ウクライナには、戦争をテーマに親子でじっくり語る子どもの本がありませんでした。でも子どもたちには、いまこそ、そういう本が必要です。ならば作家である自分たちで作るべきだという思いでつくった本でした。」
絵本の内容は、人々が花を育て、変わった家を建て、鳥や草木に話しかけながら楽しく暮らしていた美しい町・ロンドが舞台で、そこにある日とつぜん「戦争」がやってくる。「戦争」を知らない町の人びとはおろおろするばかり。主人公のダーンカ、ジールカ、ファビアンの3人は、知恵と能力のすべてを使い、ロンドを暗闇から救い出そうとする。
8月12日付東京新聞夕刊ではこの『戦争が町にやってくる』と、講談社から今月発刊されたイタリアのジャンニ・ロダーリの詩を基にした絵本『キーウの月』を大きく紹介。記事では、前者の作家2人はリビウで活動しており、ロシアのクリミア侵攻でシェルターに避難しながらの暮らしが続いたという。しかし、シェルターでも子どもたちが絵本を欲しがったり、読んだりする姿を目にした。「日本の子どもたちにもこの絵本を読み平和について考えて欲しい。ウクライナで実際に起こっている戦争のことも注意深く見てほしい」という言葉で結んでいる。
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