河出書房新社は9月5日、ウクライナの絵本作家がロシアの侵攻直後から鉛筆1本で描いた戦禍ドキュメンタリーを緊急出版する。タイトルは『戦争日記 鉛筆1本で描いたウクライナのある家族の日々』で、四六変判、136ページ、仮フランス装、税込み定価1595円。著者はウクライナ・ハルキウ生まれのオリガ・グレベンニクで、絵本作家、イラストレーター、アーティストとして活動している。9歳の息子と4歳の娘の母で、『ママ、怒らないで』などの絵本を出版。
2月24日にロシアがウクライナに軍事侵攻。著者はその日からマンションの地下室で避難生活を余儀なくされ、ハルキウから西部のリヴィウを経て、ブルガリアまで逃れていく過程を文章で綴っていた。それを韓国の出版社が4月に書籍化すると世界で大きな反響を呼び、日本でもNHK「おはよう日本」(6月6日)で紹介され、現在イタリア、ドイツ、ルーマニア、フィンランドなど、世界数カ国で出版が決定している。「ウクライナの現実、戦争の現実を描く、慟哭のドキュメンタリー。心に迫る絵と切実な文章で綴られた、今こそ読まれるべき一冊です」と、日本語版を刊行する河出書房新社。
「子どもたちの腕に名前と生年月日、そしてわたしの電話番号を書いた。万が一、死んでしまっても身元がわかるように。」(本書から)。「ねぇ、どう思う? 戦争中でも、わたしのたんどーび(誕生日)ってあるのかな?」(娘の言葉から)。「戦争と2人の子どものことを描き続けるウクライナの絵本作家。走り書きのような絵と文章は、差し迫った彼女の心が表れている。今までになかった戦争日記 !」(黒柳徹子さんの推薦メッセージ)。
〈著者の言葉〉 わたしがこの日記を書くのは「戦争反対 !」と叫ぶためである。戦争に勝者はいない。そこにあるのは血、破壊、そしてわたしたちひとりひとりの心の中に出来た大きな穴だけだ。わたしたちは民族で人を分けない。人を定義するのは、民族ではなく行動だからだ。戦争は人間など気にしない。戦争はわたしたちを思いっきり揺さぶった。
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