7月26日、日本企業の「脱ロシア」の動きが止まったというレポートが発表された。帝国データバンクが調査したもので、2月時点でロシアへの進出が判明した国内上場企業168社のうち、7月22日までにロシア事業の停止や撤退を新たに発表した企業は、全体の4割に当たる74社と判明した。しかし、前月から新たなロシア事業の停止や撤退を表明した企業はゼロだった。
3月から4月にかけて、ロシア事業の停止や制限・撤退といった「脱ロシア」の動きが相次いだ。しかし、その後は脱ロシアの機運は急激に低下し、5月時点ではロシア事業の停止を表明した企業は4月時点の増加数から半減、6月も5月から半分以下にとどまった。こうした中、7月は調査開始の3月以降、5ヶ月目で初めてゼロを記録した。大手企業でも将来的な事業再開・撤退についても言明を避けるケースが多い中、総じてロシア事業を見直す動きはストップした。
一方、帝国データバンクが米エール経営大学院の集計をもとに各国のロシア事業撤退割合を分析した結果、全世界の主要企業約1300社のうち22%の300社がロシア事業撤退を表明したことが分かった。国籍別にみると、北欧3カ国をはじめ、英米企業で「脱ロシア」の動きが加速している。また、ウクライナ侵攻を続けるロシアへの圧力が欧米諸国を中心に強まる中、衣料大手のH&Mなどを初め、ロシア事業の重要度が高い企業でも完全撤退する動きが続いている。
これに対して、日本企業の事業撤退割合は帝国データバンクの調査で3%、エール大の調査でも5%と、先進主要7カ国で最低レベルにある。工場の操業停止や製品輸出入停止といったロシアと距離を置く動きは続いたが、ロシアビジネス撤退には慎重姿勢を見せる企業が多い。さらに、ロシア事業の占める割合や影響が小さいことから、積極的な開示や対応を控えている側面もここにきて見え始めている。レアメタルやLNGなどのロシアに代わる代替供給先の確保が難航していることに加え、ロシアを重要な新興市場として注力してきた日本企業にとっては「市場再参入のハードルが高い」といった課題もあり、容易な撤退は難しい現状もある。
大手日本企業はロシア事業が生産停止、営業停止となっていても、ロシアから撤退とは発表していない。
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