安城市内に本社を構え、愛知県でパン店「パンのトラ」を6店舗展開しているトラムスコープは、パンのトラ安城店隣で営業するレストラン「ピッツェリアブル」でウクライナの伝統料理「ボルシチ」の提供を開始した。6月12日からメニューに加えたもので、入り口に写真入りで『たくさんのお肉が入っているウクライナの伝統料理』としてボルシチの立て看板を設置して来店客にアピールしている。
トラムスコープでは、4月上旬から安城市内で避難生活を送るウクライナ人のルスラン・チェボターロフ、リディア・ザイエツ夫妻と一緒にウクライナ伝統のパンの開発を行うと共に、ボルシチのメニュー開発にも取り組み、さらにアルバイト店員として夫婦をレストランに雇い入れた。入り口の案内表示には、食からウクライナを知ってみませんかとして、「ウクライナのキーウから愛知県に避難されて来られた、ルスランさん、リディアさんにウクライナ伝統のボルシチを再現してもらいました」と表示している。
パンのトラ安城店隣のピッツェリアブル |
提供しているボルシチのセットは、ウクライナ伝統のパン2個とサワークリーム、フリードリンク、手作りパン(ランチ時)付き。ウクライナ伝統のパンはガーリックが効いたふわふわした食感の小ぶりなパンプーシュカで、ボルシチに付けて食べることができる。また、サワークリームはボルシチに入れてかき混ぜて溶かすと、全体的に味がマイルドになる。クリームを溶かす前のスープは赤いが、これは赤い野菜のビーツが入っているためで、辛くはない。ボルシチのレシピは地域、家庭によって異なると言われるが、ピッツァリアブルのボルシチは日本人の味覚に合った、食べやすい料理になっている。
なお、ボルシチは日本ではロシア料理店で食べたことがある人が多いが、発祥の地はウクライナである。ユネスコは7月1日、「ウクライナ・ボルシチの調理文化」を緊急に保護する必要のあるユネスコ無形文化遺産のリストに加えると発表している。『ウクライナ・ファンブック』では、ボルシチについて「調理時間は少なくとも3、4時間はかかる。このため、味噌汁のように毎日作るものではなく、休日に多めに作り、冷蔵庫に入れて1週間かけて食べる家庭料理なのである。もちろん、どんな食堂にもボルシチは必ずある」と記述している。
パンプーシュカ付きのボルシチセット |
サワークリームを溶かしたボルシチ |
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