日本語版の海外旅行ガイドブックは地球の歩き方、ブルーガイド、るるぶ、タビトモなどがよく知られるが、これら大手出版社のガイドブックにはウクライナを取り上げたものがない。日本で出版されているのは、トランスビューが物流と決済を代行する小出版社のパブリブ(本社東京)が2020年3月に発刊した『ウクライナ・ファンブック』だけである。本文はA5判、オールカラー印刷224ページで、定価2300円+税。
著者はウクライナ国営通信ウクルインフォルムの日本人編集者として、写真家として現地からの生情報を発信し続けている平野高志氏。ファンブックではキーウ、ハルキウ、マリウポリ、ヘルソン、チェルニヒウなど、ロシアの侵攻が始まる前のウクライナの主要都市の姿を地図、写真を交えて詳しく紹介している。同時にウクライナ料理、ビール、音楽、伝統服、お土産品などを紹介すると共に、キエフ大公国設立から1991年に独立するまでのウクライナ史、さらにクリミア史、マイダイ革命などの政治史も詳述している。
ロシアの侵攻前の昨年末からファンブックへの注目が高まり、在庫が薄くなってきたことから重版を決定、侵攻が始まった日に印刷所に重版データを入稿したという。その後も注文が途切れることなく、4月に3刷、4刷、5月26日には5刷を発送した。他社からもウクライナに関する本は出版されているが、ファンブックがガイドブック的な本として唯一ということから幅広い層から支持を集めているという。「最近はウクライナ避難民を支援したりしている人や地方自治体、研究機関など、元々はウクライナに特に縁がなかった、広範囲の層に興味を持ってもらえているようです。また、出版当初から在日ウクライナ人やウクライナ大使館、在ウクライナ日本人、ウクライナ関係者からも支持を頂いております」(パブリブのブログ)。
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